全国こども福祉センターでは社会調査活動を実施しています。10代のメンバー、センターに所属するメンバー全員がフィールドワークに参加します。繁華街や祭礼行事・SNSなどの各フィールドで観察やアウトリーチをおこないます。アウトリーチ(OutReach)は直訳すると、「手を伸ばす」という意味があります。国内では「必要な支援や情報を届けるスキル」と認識されています。
当センターでは、10代を含む子ども・若者がフィールドワークを繰り返し、観察、介入、関係性の構築など具体的な実践を行います。常に当事者である子ども・若者と実践と振り返りを行いながら、当事者目線でスキル開発を行っています。
(※フィールドワーク 旧:街頭パトロール・相談事業)
当センターが柱とするアウトリーチの形態は、内閣府主催アウトリーチ(訪問支援)研修の中で紹介されている四類型の一つ、「直接接触型」アウトリーチです。家庭を居場所としない子どもへのアプローチができる唯一の方法で、街頭でたむろする非行グループへのアプローチや予備軍ともいえる少年少女へ介入します。
昨今では、虐待対応、再犯防止が注目されていますが、当センターでは非行やひきこもり等が深化する前にアプローチしています(路上、SNS運用における直接接触、アプリを活用した相談体制、繋がり形成を行っています)
12歳の男の子、1日約110万人の大人が往来する名古屋駅(名古屋市条例:路上禁煙区域)で堂々喫煙していますが、誰も声をかけません。彼はここで何をしていますか?なぜ、誰も声をかけられないのでしょうか?
少年少女との価値観や文化が開いていくいっぽうで、市民による声かけ活動は普及せず、さらにハードルがあがっています。結果、警察や司法権力による取り締まり、カリスマ(著名人)によるパトロール、啓発活動に依拠する傾向が進んでいます。一人で抱えるには限界があるため、全国こども福祉センターでは一部のカリスマに依拠するのではなく、スキルの普遍化(一般への普及)を目指し、依存先の分散を図ります。
その場の立ち話で終わることなく、彼らの「声」を聞きながら少しずつ信頼関係を形成していきます。ヒアリング・洞察を行ないながら、必要に応じて適切な居場所へ誘導を行っています。フィールドワーク(街頭パトロール)は敢えてパトロール感を出さず、同世代(高校生・大学生)ボランティアなどが「着ぐるみ」をまとい前線に立つことで、相談へのハードルを下げています。この活動が居場所となる子ども若者も多数存在し、伴走型支援の入口ともなっています。
相談内容の一例(子ども)
・社会的養護出身者からの相談
お金がなく、住むところがない。仕事をしたくない。
・母親が家事をしない。学校を辞めたい。
・対人関係がうまくいかない。学校に行きたくない。
・家に帰りたくない。
・大人が信用できない。
・自傷行為が辞められない。
・監禁されている。
・薬物をしている友達から逃げられない。 など
(親・保護者)
・子どもとどう関わっていいかわからない。
・知り合いの親子が気になる。
・自分の居場所がない。