創設者

ごあいさつ

2005年のことです。児童養護施設児童指導員として在職中、繁華街やSNS上をさまよう子ども・若者と出会いました。かれらの多くは、児童相談所や施設が提供する支援を拒み、犯罪加害者または被害者になっていきました。

 

わたしは子ども若者が犯罪被害に遭う前に福祉的なアプローチができないか考え、繁華街やSNS上で交流を通じ、情報提供を始めます。いち早く困窮者のSOSに気づき、声かけを行うことや、支援の提供(声をかけること)を第一の目的として活動を始めました。

 

しかし、施設型福祉や支援に対して、ネガティブなイメージや強い偏見を抱えている若者が多く、一方的な支援やアプローチは逆効果であることに気付きました。たとえば、公的支援を利用した若者は、「屈辱的」「窮屈で自由がない」と強調します。よかれと思い、支援と引き換えに彼らの尊厳を奪っていたのです。

 

わたしは、支援を拒否する子どもや若者、路上生活を続ける方々と出会い、声を聴くなかで、権威的で支配的な支援関係を結ぶよりも、たがいの理解を深め、コミュニケーションを絶やさないことが大切と学びました。

 

はじめは一人で声かけを行っていましたが、次第に「手伝うよ」「活動したい」と協力をしてくれる方々が増え、仲間と声かけや交流活動を行うようになりました。「こどもだから」「要支援対象者だから」と追い返すのではなく、いっしょに考え、活動できる環境を提供したいと考え、全国こども福祉センターを設立しました。これまで「危険」と認識されてきた繫華街が、こども若者や路上生活者等の交流拠点へと変わっていきました。交流を重視した活動では、地域や年齢、性別や障害の有無は関係ありません。

 

法人設立後も、教育・福祉関係者からは見向きもされず、非難や妨害を受けることもありました。しかし、参加者(こども若者)からの強い支持があり、活動を継続。この場にいない「誰か」ではなく、「自分たち」で運営する、共同体自治を重視した活動を行ってきました。

 

参加者は2万人を超え、多くの人々が集う拠点に育ち、街中のボランティアセンターとして社会的な役割を担っているほか、必要に応じて、困窮するこども若者への緊急支援も行っています。

 

わたしは、みんなで築きあげた交流の拠点(全国こども福祉センター)を【公共財】または【共有の財産】として捉えています。そのため、少しでもみなさまに還元できればと考え、公開の場で活動を続けています。そして、わたしたちは、みなさんを要支援対象者としてではなく、「参加者」または「活動者」としてお迎えします。

 

ようこそ、全国こども福祉センターへ

 

 

荒井和樹

全国こども福祉センター理事長

中京学院大学 専任講師 

(保育士・社会福祉士)

 

北海道羽幌町出身。日本福祉大学大学院社会福祉学研究科 修了(社会福祉学修士)。

児童養護施設職員として在職中、児童相談所や従来の施設型支援を拒む子ども若者と出会う。彼らを支援や保護の対象(客体)として捉えるのではなく、課題解決の主体として迎え、2012年に全国こども福祉センターを設立、2013年法人化。ともに街中で交流の拠点を築き、2万2千人以上に交流と活動の機会を提供。2019年に『子ども・若者が創るアウトリーチ』出版(2023年せせらぎ出版から改装版発売)。2021年から中京学院大学専任講師。主な論文に「若年被害女性等支援モデル事業におけるアウトリーチの方法」『日本の科学者』(本の泉社)がある。内閣総理大臣表彰(未来をつくる こどもまんなかアワードこども若者部門)受賞。

 

Kazuki Arai|President of National Children's Welfare Center

Chukyo Gakuin University Lecturer

Childcare Professional / Social Worker 

 

Born in Hokkaido, Japan, in 1982 and graduated from Nihon Fukushi Graduate University.

While working as a child care facility worker, he encountered children who refused institutional support or child guidance centers. Faced with duplication of support and unequal opportunities, we welcomed children not as objects of support or protection, but as subjects of problem-solving, and established the National Children's Welfare Center in 2012, which became a corporation in 2013. . Together with children, young people, and people living on the streets, we have built exchange hubs in the city, providing opportunities for interaction and activities to over 22,000 young people and people living on the streets. In 2019, “Outreach Created by Children and Young People” was published. (Reprinted in September 2023, revised version released by Seseragi Publishing) Full-time lecturer at Chukyo Gakuin University from 2021 (in charge of social welfare, child and family welfare, and childcare training).

 

 

Her main articles include ``Outreach Methods in Model Projects to Support Young Female Victims'' and ``Japanese Scientists'' (Honsensha).

 

 

 

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